崩れた足場

映画公開延期、スター来日も中止 米テロに映画界揺れる

まるで映画のようだ−−。そんな言葉が飛び交う米国の同時多発テロ事件。
現実に起きたすさまじい映像を前にして、映画界は公開延期などの対応に
追われている。

10月6日(米国5日)、日米同時公開予定だった、アーノルド・シュワル
ツェネッガー主演の「コラテラル・ダメージ」の公開は13日、無期延期
になった。

…略…

ニューヨーク発の共同電によると、ディズニー傘下のタッチストーンは米国で
21日公開予定のテロリストによる核爆弾をめぐる喜劇「ビッグ・トラブル」の
公開延期を決めた。また、ソニー・ピクチャーズも来年公開予定の「スパイダーマン」
の予告編の劇場上映を中止。世界貿易センタービルにクモの巣を張るシーンがあるため、
という。

…略…

オーストラリアの映画監督、バズ・ラーマンは11月公開の「ムーラン・ルージュ」
の宣伝で来日中。こちらも予定通りに帰国出来るか微妙だ。11日夜、惨劇を伝える
ニュースを徹夜で見たラーマンは「この日から世界が変わる。映画を撮り終え、
バーチャルな世界から現実の世界に戻ろうとしていたら、その世界が崩れていた。
何をしていいかわからない」と話していた。

=====以上、2001/09/15のAsahi.comより

「コラテラル・ダメージ」のテレビCMを見た時、お、敢えてこの時期に
公開するのか。ほほう。と思っていたのだけど、どうやら延期になったらしい。

対テロにせよ、仮想敵国にせよ、アメリカ映画は、それに立ち向かって勝利する
というパターンのものが多いという説もある。

人が逃げ惑うシーンが駄目なら、怪獣映画もだめだな。

貿易センタービルが崩れてしまっては、さすがのスパイダーマンも糸を張れまい。
映画の中でビルが壊れても、現実のビルは、普通、しっかり建ってるはずなのだ。
東京タワーは何度も折れてる。
しかし、映画の中で建っていたビルが、今、現実に瓦解している。

形のあるものは、なんだって壊れる。
人は誰だって、いずれ死ぬ。

でも、供養や葬式をして、ある期間、喪に服すのもまた人である。
そのための延期であるならよいと思う。
喪が明けたあと、その映画を楽しめるのならば。