用語の定義をしないと話は始まらない

「密室の恋」? 日弁連、裁判員制へ難解用語見直し
2006年01月15日00時30分

 「ミヒツノコイ」って「密室の恋」? 09年までに始まる裁判員制度に備えて、難解な法廷用語をわかりやすく言い換える作業に、日本弁護士連合会のプロジェクトチームが取り組んでいる。裁判員裁判では法廷での口頭のやりとりが中心になり、ふつうの人が耳で聞いて分かる言葉が使われないと裁判がうまくできない。このため、一般になじみがなかったり誤解されやすかったりする16語についての案を、これまでにまとめた。単純な言葉の置き換えが難しいものも少なくない。

 チームはまず、言い換えの対象とすべき単語を弁護士に挙げてもらい、50語をリストアップ。その後、大学生や会社員ら46人に面接調査。50語について聞いたことがあるかや、意味を理解しているかなどを尋ねた。

 市民生活ではまず耳にせず、「聞いたことがある」も3割にとどまったのが「合理的疑い」だ。

 この場合の「疑い」の意味は「検察側の主張通り犯人と認定することへの疑問」だ。「合理的な疑いが残る場合は、被告を有罪にすることはできない」などと使う。

 だが「聞いたことがある」と答えた市民でさえ、その意味を「誰がどう考えても、その人に容疑があると考えられること」「疑われても仕方がない状態」などと、正反対にとらえているケースが続発した。

 プロジェクトチームは、「疑い」という言葉は「容疑」という語感も強いため、誤解が生じやすいとして、「そのまま使わないのが望ましい」と判断した。

−−−中略

 だじゃれのような勘違いもある。殺人事件などの法廷でよく出てくる「未必の故意」。被告に殺意があったかどうかというような議論で登場する重要な用語の一つだ。

 昨年2月、群馬県のある市民講座で、チームの一人が40〜80歳の男女30人に「ミヒツのコイ」と読み上げ、漢字に書き取ってもらった。

 苦心の末に出てきた答えは、「密室の恋」「密室の行為」……。正答は一つもなかった。

 裁判員裁判は、書面に頼らず、法廷での口頭のやりとりが中心になる。ふつうの人が聞いて分かる言葉でなければ、使い物にならない。最高裁もわかりやすい審理の進め方や判決文のあり方を検討するなど、関係者が工夫を続けている。

 チームの座長をつとめた酒井幸弁護士は「弁護士が当然と思っていることでも、意外な解釈や指摘があり、『ああ、そうなんだ』と目を開かせられた」。チームは「将来は裁判員用の用語集として結実させたい」としており、今秋までに50語ほどに増やす計画だ。


http://www.asahi.com/national/update/0114/TKY200601140270.html

小さい頃、「たいふういっか」と聞いて、「台風一家」だと思っていて、なにか激しい家族なのだろうかと思っていた時期がある。
日本語は同音異義語がたくさんあるせいもあるかもしれない、熟語にいろんな意味をもたせたりするせいかもしれない。たしかに、専門用語というのは、初めに単語の定義から入らないと、お互い同じセリフを言っていて、一見会話が成立している風に見えても、共通理解は得られない。こういう問題は法律の用語に限ったことではない。
思い出したのが、「不慮の事故」。不慮というのは、「おもいがけない」という意味だったと思う。私の感覚としては、事故なんてもんは予想してないから起こるのだろうから、不慮なのは当たり前だろうと思うのだけど、なかにはわざとやる事故もあるのだろうか。それじゃぁ事件ではないか。わざとじゃないのだけど、なんとなく、起こしたら、それは「未必の故意」ってやつか。