時間の切り売り

TIME SELLER―本当の「時間」の使い方

TIME SELLER―本当の「時間」の使い方

手にした時は、またビジネスがらみの本かしら。なんて思いつつ、開いてみると、小説というか寓話というか。
平均的な男(Average Guy 略してAG)の思いついた事業に巻き込まれていく家族、近所、社会、政府。ステレオタイプなお役所、弁護士、技術者、政治家。人はみんな自分の時間を社会に切り売りして生きている。「五分間ボトル」の頃には、ボトルを買いに五分以上かけて出掛けてたら世話ないな。と思いながら読んでいたのだけれど、事態はどんどんとエスカレートして、やがて成長神話は飽和し崩壊の時を迎える。
時間のつまった器が商品だから妙な気がするかもしれないけれど、世にある製品、サービスというのは、売る側の人の労働の成果物だと思えば、なんだ、ひょっとすると同じ?なんて思ったりした。時間通貨ってのはたぶん、お金でなくて、命を掛けるとか、身を削るとか、が、もっと細かな微小な、たとえば、一日働いて疲れるくらいのレベルのなにかバロメータなのかもしれないなぁ。交換レートは個々人が持ってるのだろう。たぶん。